REPORT 04:腸管バリア機能向上REPORT 04:腸管バリア機能向上

甘酒主原料の酒粕・米麹の摂取によりムチン量が増加し、腸管バリア機能向上の可能性が示唆されました甘酒主原料の酒粕・米麹の摂取によりムチン量が増加し、腸管バリア機能向上の可能性が示唆されました

  • ムチン・腸管バリアとは?
  • 試験の詳細
  • 考察とまとめ

ムチン・腸管バリアとは?ムチン・腸管バリアとは?

栄養を吸収してくれる小腸などの腸管は、一方で身体にとって有害な細菌や毒素などは排除しなければいけません。
腸管は粘膜に覆われていて、ムチンとはその粘膜を覆っている粘液の主成分。
腸では主に胚細胞で産出され、細胞を保護し、病原菌や毒素から組織を守る役割を担っています。
ムチンが減ると腸管がむき出しになり、体に悪さをする病原菌などの侵入や定着を防ぎきれずにその影響を受けやすくなってしまいます。

こうして粘液として物理的に腸管を守るムチンの他にも、腸管内には抗体反応として微生物に科学的変化をもたらし、抗菌活性を発揮することで細菌の侵入を抑制する働きを担うlgAという因子も存在します。
このように、大切な腸管を細菌などの敵から守るものをまとめて「腸管バリア」機能とよばれています。

  • 正常な腸内イメージ
  • ムチンが減ると…イメージ
  • 腸管バリア機能イメージ

試験の詳細試験の詳細

酒粕と米麹の腸管バリア機能向上についての研究酒粕と米麹の腸管バリア機能向上についての研究

  • 方法

    マウスに甘酒主原料の「酒粕+麹」を2:1で配合した餌を4週間摂取

  • 試験飼料※各群n=7

    ・通常食
    ・通常食+酒粕と米麹の混合物(糖質10%分を置き換え)
    ・高脂肪食
    ・高脂肪食+酒粕と米麹の混合物(糖質10%分を置き換え)

  • 測定

    1飼育期間中の糞便中lgAおよびムチン量の測定
    2摂取4週間後にムチン関連遺伝子を定量PCR法にて定量

  • 結果1:酒粕+米麹の摂取により、通常食及び高脂肪食どちらの群でも、有意に糞便中ムチン量が増加した結果1:酒粕+米麹の摂取により、通常食及び高脂肪食どちらの群でも、有意に糞便中ムチン量が増加した

    図1)糞便分析 糞便中ムチン量(通常食)
    図1)糞便分析 糞便中ムチン量(高脂肪食)
    図1)糞便分析 IgA(通常食)
    図1)糞便分析 IgA(高脂肪食)

    IgAは変化がなかったが、ムチンは酒粕米麹摂取群にて有意に増加。ムチンは腸管を守る粘液の主成分。腸管バリア機能の向上の可能性が見られました!IgAは変化がなかったが、ムチンは酒粕米麹摂取群にて有意に増加。ムチンは腸管を守る粘液の主成分。腸管バリア機能の向上の可能性が見られました!

  • 結果2:ムチンの生成に関わる遺伝子(Muc3)の増加が、酒粕+米麹摂取により認められた結果2:ムチンの生成に関わる遺伝子(Muc3)の増加が、酒粕+米麹摂取により認められた

    図2)小腸下部上皮組織の遺伝子発現解析

    遺伝子レベルでもムチンの生成が促進されることがわかりました!ムチン増加のメカニズムの一つとしてMuc3発現関与の可能性も見えてきました。遺伝子レベルでもムチンの生成が促進されることがわかりました!ムチン増加のメカニズムの一つとしてMuc3発現関与の可能性も見えてきました。

考察とまとめ考察とまとめ

甘酒の主要成分である酒粕と米麹を摂取することで、腸管を守る役割を果たすムチン量の増加と、ムチン関連遺伝子の発現上昇が見られました。
このことから、酒粕と米麹を使った甘酒の摂取により、胃腸の粘膜を保護し病原菌や毒素から守る腸管バリア機能向上の可能性が示されました。

東京大学 阿部啓子特任教授らとの共同研究による、2016年11月開催の第22回日本フードファクター学会学術集会にて発表された内容です。

甘酒Lab.(あまざけラボ)