エンゼルパイは、常温でも、冷蔵庫で冷やしても、冷凍庫で凍らせても、いろいろな食感をおいしく楽しめます。それはなぜでしょうか?
エンゼルパイは、やわらかいビスケットでサンドされたマシュマロに、チョコレートがうすくコートされてできています。エンゼルパイのあの独特の食感は、チョコレートとやわらかいビスケット、それにマシュマロから生まれる絶妙な三重奏なのです。
チョコレート、ビスケット、マシュマロの食感は、温度によってさまざまに変化し、感じ方も全く違います。それぞれの温度で、食感はどのように生まれているのでしょうか。
チョコレートは暑さが大の苦手。それは、チョコレートに含まれる脂肪分が暑さでとけてしまうからです。反対に冷たいところにおいておくと、脂肪分がかたまるので、チョコレートはかたい食感になります。
常温(20℃前後)では、脂肪分がまだ少しやわらかさを保っています。そのため、エンゼルパイの外側のチョコレートは、食べるとすぐに口の中でやわらかくなるのです。
エンゼルパイのビスケットにも脂肪分が含まれています。常温では、やわらかさを保っているので、ふんわりとした食感です。
マシュマロに含まれているゼラチンは、温度が高いとやわらかく、低いとかたく締まります。常温では、ゼラチンはまだしなやかなやわらかさと適度なねばりをもっているので、マシュマロはふんわりしっとりとした、ねばりのある食感です。
このように常温では、チョコレート、ビスケット、マシュマロのどれもがやわらかさを保っているので、口の中でも全体が一つにまとまった食感を感じることができます。
5℃前後になると、チョコレートの脂肪分が固まります。そのために、エンゼルパイのチョコレートもパリッとした歯ごたえのある、かたい食感になります。
ビスケットに含まれる脂肪分も常温のときよりかたくなります。ですから、しっかりとした、少しかための食感になります。
マシュマロのゼラチンも冷えるとかたくなり、しなやかさとやわらかさを保ちながらも、かたく引き締まった弾力性の少ない食感になります。
このように、冷蔵庫で冷やしたエンゼルパイは、表面のチョコレートはパリッとした固い食感になります。一方、ビスケットとマシュマロはややかたい、歯ごたえのある食感になりますが、まだしなやかさを残しています。外側のチョコレートはパリパリなのに、ビスケット、マシュマロはまだしなやかさを残している…。この食感の落差が、エンゼルパイを冷蔵庫で冷やした時の特徴を作り出しているのです。
チョコレートの脂肪分のかたさは、冷蔵庫で冷やしたときと同じようなパリパリの食感です。
ビスケットに含まれている脂肪分は、冷蔵庫で冷やしたときよりもさらにかたくなります。また、ビスケット中の糖分と水分が飴のようにかたくなると考えられています。そのため、-20℃前後でビスケットは、かたくてサクサクとした食感になるのです。
マシュマロに含まれているゼラチンは冷蔵庫で冷やした時よりも、さらにかたく引き締まります。また、ビスケットと同じように、マシュマロ中の糖分と水分も飴状に硬くなると考えられています。ですから、マシュマロはさらに噛みごたえのある、ちぎれやすくてかたい食感になります。
このように、エンゼルパイを冷凍庫で冷やすと、チョコレート、ビスケット、マシュマロすべてが、かたくなります。そのために、全体の食感がかたく引き締まったものになるのです。
いろいろな食感のエンゼルパイをお楽しみださい!